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私情と妄想と経験の海から産まれくるモノたちの墓場


by cogo3358

木漏れ陽の憂鬱 - 邂逅 20

唇と唇が触れた瞬間に言いようのない感覚に支配され、熱に浮かされた。
程なくして貴美男の舌が僕の口の中へ入ってくる訳だが、その舌が僕の舌と触れ合い、絡み合うことに僕はもはや意識が飛びそうな興奮と、それとは対極にあるはずの安らぎに似た何かを感じていた。
キスと言うものが、何やらとても神聖なものにさえ感じられる瞬間だった。
興奮の為だろうか、少し息が上がる。

僕たちは何度か口づけを交わし合ってはその都度お互いの表情を見つめ、互いに何かを与え合った。それは、例えば物理的に言う唾液ばかりではなく、何だかもっと言葉では形容し難い、精神的な、そしてどこか神聖な気さえする感覚だった。

貴美男からの先導があり、僕はひょんなことから初めての恋人を得て、僕たちは口づけを交わし合った。

双方どちらも人生で初体験の僕にとってはアタマがおかしくなりそうな、いや、当に頭はおかしくなっていたのかもしれない、熱病に浮かされた心地だった。

貴美男は口づけの度に一度顔を少し離しては愛おしそうに僕を見て、もう一度、また一度と何度も口づけをくれたのだった。

「お前、普段の感じと違ってこう言う時めちゃくちゃエロい雰囲気出すのな。」
貴美男が何度かの口づけの後に微笑みながら僕にそう言う。
「えっ…そ、そうなのかな…僕は、こう言うの自体初めてだから、全然無意識なんだけど…」
僕はとにかく恥ずかしかった。
それと同じだけ、自分を無条件に誉めてくれて受け入れてくれる貴美男に首ったけ、と言う様子だった。

「何ならこのまま勝ちゃんの穴に俺のぶち込んでやりたいとこなんだけど、そもそも人とヤる準備なんてしてねぇんでローションが無ぇ。また今度だな。」
貴美男は何度目かの口づけの後にそう言うと、僕の頭をぽんぽんと軽く叩いた。
「ローション、ないと無理…って、そりゃそうか。」
僕はきっと一瞬、ものすごく残念な顔をしたのだろう。
「ははは、そりゃそうだぜ。男の穴は出す専用だから女のそれと違って自発的に潤う機能は付いてねぇかんな。」
そう言って一笑いすると、貴美男はよくやる不敵な顔でこう続ける。
「でも俺先走り多い方だからもしかしたら、ぬるっと入ったりしてな。」
そう言ってまた僕のお尻にぐっと硬くなった下半身を押し当てて来た。
「いたた…ん〜…初めてだから、ちょっとその選択肢は怖いよ。」
僕は押し当てられた痛みに少し悶えつつ、口惜しくも感じたが、何となくそれは危険な気がするとやんわり断った。

「まあ、恋は焦らずってな。今度までには勝ちゃんが俺なしで生きられないぐらい開発してやるよ。」
そう言うと貴美男はぎゅうっと僕を抱き締めた。
僕も貴美男の背中に腕を回し、その身体を強く抱き締めた。
by cogo3358 | 2017-04-07 17:40